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1999/10/25    

海豚 # 6.

狩猟民族の童話

A winner takes all

アメリカに住んでいたころ、子供用のVideo見てたら、3匹の仔豚をやっていたのだが、どうしてもその子供がしゃべる台詞が聞き取れなくて、近所の図書館へ調べに行ったことがある。だって、3,4歳の子供がしゃべってるのに何のことだかさっぱり解らん。ちょっと、悔しいじゃないの。で、図書館で3冊(種類)あった絵本を手にとって読んでみると、僕が知っているストーリーとは違っていた。ではでは、まずは、原作の”3匹の仔豚”のご紹介から。

むかーしむかーし三匹の子豚がいました。一匹目の子豚は、わらでお家をたてました。そこへ、Big Bad おおかみがやってきて、

    おおかみ: Little Pig, Little Pig, Let me come in.
    子豚: No, No, Not by the hair of my Chinny Chin Chin.
    おおかみ: じゃあ、おまえの家なんぞ、おれが、吹き飛ばしてやる。ふぅーーーー。
    子豚: あれーー。
    おおかみ: むしゃむしゃ。あーー、子豚は、やっぱりうまいねぇ。臭みもないしさ。酒のつまみには、子豚が一番さ。

二匹目の子豚は、小枝でお家をたてました。そこへ、Big Bad おおかみがやってきて、

    おおかみ: Little Pig, Little Pig, Let me come in.
    子豚: No, No, Not by the hair of my Chinny Chin Chin.
    おおかみ: じゃあ、おまえの家なんぞ、おれが、吹き飛ばしてやる。ふぅーーーー。
    子豚: あれーー。
    おおかみ: むしゃむしゃ。あーー、子豚は、やっぱりうまいねぇ。Low Fatだしね。健康指向な僕には、子豚がぴったりさ。さぁ。次いくでぇ。

三匹目の子豚は、ブロックでお家をたてました。そこへ、Big Bad おおかみがやってきて、

    おおかみ: Little Pig, Little Pig, Let me come in.
    子豚: No, No, Not by the hair of my Chinny Chin Chin.
    おおかみ: じゃあ、おまえの家なんぞ、おれが、吹き飛ばしてやる。ふぅーーーー。
    子豚: うっしっし。そんなんじゃ。この家は、吹き飛ばないよーーだ。あっかんべぇーー。

で、そのあと、おおかみは、あの手この手をつかって、子豚を外へおびき出そうとしますが失敗する。で、最後は、おおかみは、家の煙突から入ろうとするのですが、煙突の下には子豚の用意した煮えたぎった湯のはいった鍋があり、そこにどぼーーんと入ってしまい、3匹目のブタがおおかみスープに舌鼓を打ってめでたしめでたし。

どうですか? これが、狩猟民族の童話である。

お馬鹿な豚も狼もみんな食べられちゃって、残ったのは、えげつないビル・ゲイツだけ。あっ。ちゃうちゃう。もとい。残ったのは、頭のいい3匹目の豚だけという終わりなのだ。日本に翻訳されて輸入されている3匹の仔豚では、1匹目と2匹目の豚は、3匹目の豚の家に逃げ込むという設定で、豚の3兄弟が力を合わせて、(この力を合わせてというのが、日本の童話のポイント。)悪い狼をやっつけるという”猿蟹合戦”と同じ構図になっている。

童話というのは、なにかと教訓めいたものに、解りやすいお話をかぶせているものが多いのですが、この翻訳では、原作と、その”教訓めいたもの”の意味合いが変わってきてしまっている。ある意味、狩猟民族の童話を農耕民族の童話へ、その教訓までも翻訳しているという意味では、いい翻訳なのかもしれないが...

ちなみに、ぼくが聞き取れなかったのは、仔豚の”Not by the hair of my Chinny Chin Chin.”という台詞。読んだってわからへんがな。まあ、たぶん。”おまえのかあちゃん、でべそーーー。ここまで、これるなら来てみな。ふん。おしり、ぺんぺーーん。”的な台詞なのだろうけど。他に使っている例を知らないから、いまいち、感覚がつかめない言葉です。ご存知の方は教えてください。

ふと思ったのですが ”おまえのかあちゃん、でべそーーー”をアメリカ人に説明するのも難しいだろうなぁ。(^_-)

とにかく、狩猟民族の間では、A winner takes all !!!! なのだ。

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Last update: 2003/05/12