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2001/09/14    

海豚 # 11.

USでの同時多発テロ

あの悲劇に想いをめぐらす

<1> まえがき

今回の事件を受けて、様々な人が様々な方法を用いて意見を発表している。マスメディアから流れ出る情報だけでなく、広く多くの人の意見をダイレクトに感じれることはネットの醍醐味でもある。

と、いうわけで、ぼくも唯一自分の表現手段としている、このDolphinに纏めてみることにする。ただし、今回の事件に対して、直接、どうこう言うつもりはない。というか、まだ、ちゃんと自分で消化しきれていなくて、うまく直接的な表現が出来ないというのが、本当のところである。ので、散文的に今までの経験を書き綴り、この複雑な思いを表現できればと思う。

<2> アラブの友人

ぼくがアメリカに住んでいたのは、外国人が多く住むアパートだった。特に同じ年齢の子供を持つ家族と自然に仲良くなった。その中には、アラブ系の家族もあり、週末にはバーベキューをしたり、お互いにホームパティーに招きあったりして、非常に親しくしていた。

彼らの子供は、どの子も目がクリッっとしていて、天然パーマでとっても可愛いい。家の娘のファーストキッスを奪ったのは、そのうちの一人の”クソガキ”である。(^_-)

彼らに教えてもらったアラブのお菓子はとてもおいしかった。ナッツを飴で固めたようなお菓子だった。それにもいろいろ種類があり、いっぱい、いっぱい、おいしいお菓子を教えてもらった。日本からは、とらやの羊羹を食わせてやったりした。彼らにとっては、あの”あんこ色”のヌルヌル、プルプルな食べ物を口に運ぶのは、相当勇気がいるみたいで面白かった。

彼らの宗教には、断食月というのがあり、その間は食べ物を勧めたりしてはいけない。子供にはちゃんとご飯を食べさせていたが、大人は、寝る前にベットの横でクッキーのようなものを食べるだけと聞いて、本当にびっくりした。非常に敬虔なイスラム教徒なのである。

週末の朝、駐車場で偶然出会い、これからどこ行くの。モールへお買い物。とかみさん同士。その横でだんな同士は、winkしてすれ違いざまに、小声でGood Lack!! You, too. 子供同士は、もうじゃれあっている。

人種も信じる宗教も違うけれど、家族を持ち愛し、仕事をして、家事をして、かみさんたちはお買い物が大好きで、おやじどもは、スポーツ番組で盛り上がる....ほんと同じ”人間”なんだなぁって感じた。

<3> イスラエルの友人

もうサービスを閉じてしまったが、先日まで勤めていた会社は、イスラエルに開発センターを、しょっちゅう自爆テロがあるネターニャという街に置く会社だった。おかげで、数回、イスラエルへも行くチャンスもあり、ユダヤ人とも話す機会も多くあった。

はっきり言って、その会社に入るまで、中東では、なにやら、よく戦争やってるなぁ。程度の認識しかなかったのだが、おかげで、ユダヤ人たちの歴史や文化に触れることもできた。

2000年のクリスマス、あのNYでは馬鹿騒ぎ。このとき、イスラエルでは、どうよ。って、ユダヤ人に聞いたことがある。いやーー、僕たちのカレンダーは、もう、5000年超えてるからねぇ。と、答えられてしまい、そりゃそうだって、苦笑した覚えがある。そもそも、キリスト教のお祭りだしね。

しかし、紀元後の2000年の歴史のうち、ほとんどを彼らは、世界の様々な国から迫害されつづけて、やっと、ほんの100年も満たない過去の時点で、自分たちの国を設立できた民族なのである。そら、その土地を守るために、徴兵制度もあるはずである。日本の会社で働きたいと言ったユダヤ人の履歴書には、特技として戦車の運転とあった。戦車が運転できるより、日本語が読めるとかの方が、良かったんだけど...

非常に仲良くなった奴に、一度だけパレスチナ人について、どう思うかと尋ねたことがある。彼は、完全にSelf Controlができる十分大人な紳士である。が、この時の彼の表情は、今でも忘れることが出来ない。急に眼光が厳しくなり、非常に慎重に言葉を選びなから、そして、Fuckを連発しながら、その憎しみをぶちあけた。正直言ってびっくりした。特定の人種、宗教に関して、それほどの憎しみは、僕の中には、まったくない感情だからである。まあ、せいぜい、阪神のボケ、今年もまた最下位かいな。が、表現する怒りの最大だろうか。平和なものである。

エルサレムの嘆きの壁という元ユダヤ教の寺院(?)の残骸として残っている壁がある。もともとは、ユダヤの寺院を囲んでいた壁なのであるが、現在、その壁の内側に立っているのは、なんと、イスラム教の寺院、モスクである。つまり、ユダヤ人がその前で宗教的行為をしているのは、ただ壁だけに向かって行っているのである。

ユダヤ人とパレスチナ人という国の関係を多少なりとも理解するまでは、戦争という行為は、ただただ愚かな行為であるとしか捕らえていなかったが、このような歴史的な背景から生まれるんだということを認識した。今でも、決して戦争行為やテロ行為を肯定するつもりはないが、理解はできるようになった。ので、余計に複雑な思いがする。

<4> メディアが報道しないこと

今回の事件で、その背景となっている(と僕は思っている)、イスラエルによるパレスチナ人への武力による弾圧を支持し、容認してきたアメリカのスタンスは、僕の知る限りでは、報道されることなく、敵を作り上げて団結させるマネージメントの常套手段を繰り返しているようにも見える。

そもそも、このテロが起こったのは、これまでの、アメリカの取ってきた、イスラエルへの政策の判断の誤りだったという流れが出来ることを、避けるためにしているとも考えられる。

本当に言論の自由の国なのだろうか、本当はすごい報道規制されてるんじゃない? 深読みしすぎだろうか?

<5> だって、アメリカだから

USに住んでいるころ、ちょうどイラクが戦争を起こし、アメリカがそれに反撃を加えた。なにも今回のように直接アメリカが攻撃されたわけでもないのに、アメリカが、まるで、ゲームのようなハイテクの戦争を世界に知らしめた。

その時、ちょうど、アメリカの軍人経験のある、ジャスミンティーに砂糖をドバドバいれて飲むデリカシーのない奴に、どうしてアメリカが行動を起こすのだろう。まるで、世界の警察みたいに。NATO軍であったとしても、イギリスでもフランスでもなく、結局、意思はアメリカやん。てな意味合いの事をぶつけてみたことがある。彼が、一言明快に答えた。

だって、アメリカだから。

あまりに明快すぎて、うーーーーーんって唸ったっきり、言葉が出なかった。

<6> あとがき

よりよい未来を築くために、歴史を学ぶのだ。それは、いい方向へ向かう場合は、正しいと思えるが、逆に、その歴史を学んだが故に、どうしても解くことの出来ない憎しみを、心に植え付けることもあるのである。

まだ、本格的な教育を受ける前の子供たちが、本当に無邪気に何の遠慮もなく、男も女も、人種も、宗教も、貧富も気にすることなく、まるで子犬のように、じゃれあって遊んでいた姿と、WTCへ飛行機が突っ込むシーンとのギャップに、混乱が増すばかりである。

ジョンレノンが、想像(Imagine)した世界を人間が作れるだけの知能を持ち合わせている事を信じようと思う。最後に、一人でも多くの命が助かること祈り、そして、亡くなられた方へは、心からのお悔やみを捧げたい。

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Last update: 2003/05/12