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2003/07/19    

海豚 # 120.

出逢いと別れ(その2)

14年間、ずっと一緒だった

<1> 14年

人生には、常に出逢いと別れがある。概して、出逢いの場面では、うきうき、どきどきするもので、別れには涙がつき物だ。しかし、6年ほど前の奴との決裂は、痛みを伴ったが、どちらかというと喜びの方が大きかった。

ゴシゴシタオルの18年には及ばないが、奴との14年の歳月は、風呂でしか使わないゴシゴシタオルの18年よりも、もっともっと、密接で濃厚な関係だった。奴は、その14年間一瞬たりとも、僕から離れることはなかった。

<2> 出逢い

奴との出逢いは、今は昔、なんと、僕が中学生の頃だ。いっちょまえに体だけは、大きくなってきてるのだが、まだまだ子供な部分を残していて、何かと背伸びをしてみたり、反抗してみたりしていたあの頃だ。

あの不幸な出逢いは、デートに似合いもしないのに、親父の革靴を履いて行った事から始まった。そう奴とは、親父の足に長年宿っていた、水虫だ!! ぎゃ〜〜〜〜〜ぁ。

たった一度の過ちのおかげで、ぼくの足にも奴が住み着いた。それから、長い長い奴との生活、いや、戦いが始まったわけだ。

<3> 共に旅にもでた

ゴシゴシタオルも、旅に連れて行ったが、なにせ水虫は、僕の体の中にいるのである。もう、寝るのも、ご飯を食べるのも、風呂も、デートも、何をするときも一緒である。絶対に離れてくれない。(^^ゞ

奴がもしも喋ることができたら、ぼくの行いのす・べ・てを語られてしまっただろう。恐ろしい.....抹殺せねば....

しかも、奴は、特に夏になると激しく自己主張をする。年々、奴は、僕の足の中で増殖を続け、社会人になって毎日革靴を履かねばならなくなった時には、もう、大変なことになっていた。

ズルズルでかゆかゆで.....ぎゃぁ〜〜〜〜〜〜。

<4> 奴とのバトル

奴の自己主張が激しくなってくると、はじめの頃は、市販の薬を買ってきて、奴にくれてやった。夜中に、ほぉ〜〜〜れ、ほぉ〜〜〜れ、苦しいかぁ? 痛いかぁ? とか言いながら、背中を丸めて、足の指の間に薬をすり込む姿は、ほとんど、化け猫だ。(^^ゞ

しかし、奴は、ほんの少しだけ、なりを潜めるのであるが、皮膚の奥深くで、薬が切れるのを待っているだけだ。そこで、薬を塗り続ければ完治するのかもしれないが、喉もと過ぎればなんとやらで、痒くなくなると塗るのをやめてしまうんだなぁ。

そんな事を毎年、毎年、繰り返していたのだが、ついに彼女と一緒に住みはじめるという前に、彼女にうつしては....と思い水虫撃退で有名な皮膚科の門を叩いた。はじめてその病院のドアを開けて、並んでいる病院のスリッパを見て、思わず踵を返し、マイスリッパを買いに行ったものである。あれは、親父の革靴より危険度高いもんね。

しかぁ〜〜〜〜〜し、彼の処方してくれた薬は、ギタギタの油っぽい薬で、しかも、それを寝る前にに塗りたくり、靴下を履いて寝なさいとの事。季節は夏。そうでなくても暑いのに、靴下なんぞ履いて寝れるか!! 3日でやめてしまった。

結局、彼女は、水虫付きのままの僕と生活しはじめることになってしまった。もう、コイツとは一生付き合って行くしかないのかと、親父の革靴を履いて出かけたあの日を後悔し、運命と諦めかけていた。

<5> そして、別れの時

奴との別れは、突然、やってきた。一人目の子供を身篭ったかみさんに連れ添って、近所の産婦人科へ行った時である。待合室の壁に、水虫の特攻薬あります。という紙切れがあったのである。

まあ、場違いなその紙切れに、あまり期待せずに、先生に聞いてみると、まず彼が聞いたのは、何年、水虫と付き合ってきた? って事。10年以上苦しんだ人にしか、その薬は売らないと言う。しかも、保険は使えない、一本5000円、消費税は取らないが、領収書は出さない、劇薬である、中国から先生が直接輸入している....

まあ、要するに、これ以上ないぐらい、めちゃめちゃ、怪しい訳だ。迷ったが、先生があまりに自信をもって進めるのと、子供も産まれることだし買ってみた。

<6> 死なばもろとも

その薬は、とっても綺麗なブルーの液体だ。ビニールの靴下がついていて、その靴下を履いて、その液体を靴下の中に流し込んで一時間漬け込んでおくだけだ。

しかし、その液体は、強烈な酸の匂いがして、まともに吸い込んむとゲロあげそうになるぐらいだ。到底、部屋の中には居れなくて、ベランダで一時間を過ごした。

ブルーに染まってしまった僕の足は、洗えど洗えど、匂いは落ちないし、色も落ちない。このまま、ブルーの足の人間になってしもたらどないしよ。とか思っていた。

そのまま、一日、二日とたってくると、そのブルーの皮膚にひびが入り始め、皮がぼろぼろと捲れはじめた。当然、血がにじみ出てくる。もう三日目ぐらいには、靴下は血まみれ。歩くのも必死なぐらい。それから一週間、血まみれの地獄を味わった。

が、次に再生されてきた皮膚は、赤ちゃんの皮膚のようにつるつるで綺麗だった。それまで、体重を支えてきた踵の硬さもない。生まれたての皮膚なのよ。

<7> それから6年経つが

未だに、ぼくの足の皮膚は綺麗よ。もちろん、水虫の欠片もないし。なんてったって、そこだけは、6歳の皮膚だからね。

水虫のCMて、皮膚の奥深くまで浸透していって、殺菌するみたいな、エグイCG使ってアピールしてるけど、あんなんじゃだめなのよ。やっぱり、寄生してる奴を全滅させるには、寄生されてる奴を、全滅させなくちゃね。死なばもろともよ...

心の痛みではなく、物理的な痛みをたっぷり味わったが、人生に喜びをもたらした、思い出に残る別れだった。

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