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2004/01/08    

アホ # 154.

寝る女

あぁ、カシミアのコートがぁ・・・

そのおじさんは、東急田園都市線、二子多摩川の駅の朝、次に来る乗車率250%!! これでもかというラッシュの急行を、僕と一緒に待っていた。彼は、ひと目見れば良い品とわかる、いかにも肌触りのよさそうな黒のカシミアのロングコートを着ていた。

首もとから少しだけ見えるシャツやネクタイも抑えているけど、とても、おしゃれ。古いけどしっかりメンテナンスされていて、美しく輝いている靴は、フェラガモ? 鞄も良い品のようだ。腕時計は、何だろうと見ていたが、見えなかった。そうだなぁ。年のころ50歳手前。白いものの混ざる少し長めのテンパの髪が、また、いい感じ。

う〜〜ん。単なるギンギン成金おやじはじゃなくて、こんなおしゃれで、上品なおやじになりたいなぁ。とか、考えているうちに、目的の急行が到着し、僕とおじさんは一緒のドアから乗り込んだ。

乗り込む際、ぼくとそのおじさんの間に、小柄な20歳代のOLの風の女性が入ってしまった。ぼくのお腹とおっさんの背中の肉布団でサンドイッチ状態。ううぅ。気の毒に。

そっと、そのOLの顔を見てみると、連夜の深夜までの遊びが過ぎたのか、朝からお肌の調子悪そう。厚めに塗られた、カバー率高いファンデーションが、眠そうなその顔から、すでに少し浮き気味。

二人の体温の高いおっさんに挟まれて、桜新町を通過することには、そのOLは、立ったまま、すやすや寝息を立て始めた。時々、ひざがガックゥってなりながらも、身を揺れるままに任せて寝ている。なかなかの大物だ!!

そのうち、大きく電車が揺れた時、彼女の頬は、その高級カシミアのコートに触れてしまった。それ以来、彼女はまるでその感触を楽しむかの様に、揺れるにまかせて、そのコートに頬ずりをしている。みるみるうちに、黒いコートに広がっていく明るめのファンデーション。

あぁあぁ。と思うも、どうすることもできず、南無阿弥陀仏と唱えながら、ただただ、目の前で展開される、その恐ろしい光景を見ているしかなかった。

そして、電車は、何事もなかったように、渋谷に到着。おっさんも、何事もなかったように、背中にファンデーションをつけたまま、背筋をピンと伸ばして、格好良く歩いていった。OLも、何事もなかったように、いったんホームに下りたが、そのまま、急行に乗り込んでいった。

微妙な疲れを感じながら、地下の渋谷駅から地上に出た時、朝の光が一段と眩しかった。

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Last update: 2004/01/08