マーケティングドルフィンアホ # 182.

電脳市場”裏”本舗
”素人” Marketing Opinion

2004/12/11

アホ # 182.

奇跡の瞬間

切り取られたあの時間

＜１＞あの瞬間

2004年6月23日、夕方。ぼくは、仕事を早々に切り上げて、品川のキリスト教会にいた。急に改心しようとして、日々の数々の悪業を悔い改めるために訪れたのではない。

その良く音が反響（ひび）く小さな教会には、ステージが作ってあり、その真ん中に、ポツンとさりげなく、そして、美しく煌くベーゼンドルファーのピアノがおかれていた。そう、その日、その場所では、僕が敬愛する吉田美奈子さんがコンサートを行っうのだ。それも、ピアノとDUOという形で。

今から始まる数時間の刺激をできる限り深く受け入れることができるように、心のドアを開いて魂をさらけ出し、ドキドキしながら開演をまった。

美奈子さんとピアノの倉田信雄さんが、ステージ上に現れ、二人の創り出す音が、時空に解き放たれたとき、その奇跡の瞬間は始まった。

たった一人の歌声と、たった一台のピアノが織り成す、すべての研ぎ澄まされた音の粒が、ノーガードの魂を揺さぶる。口が渇くのも忘れ、瞬きすることも忘れ、溢れ出る涙も忘れ、ただただ、その奇跡の瞬間に立ち会えた幸せを感じていた。

コンサートが終わった後は、あまりの刺激に、しばらく、言葉を発することもできず、なんとなく、教会の周りをぶらぶら歩いて、風に触れ、心臓の高鳴りを押さえて、やっと、自分を取り戻した。

＜２＞切り取られたあの瞬間

そのコンサートの様子は、何台ものカメラを用いて映像として、切り取られて記録されていたのであるが、それが、DVDになって発売されている。

cover

within ～Vision3 (Amazon)

このDVDには、2回のアンコールを終え、予定されていたすべての楽曲の演奏が終了し、会場のライトも点いても、観客は誰一人立ち上がろうとせず、鳴り止まぬ拍手に、さらに、もう一曲歌ってくれた映像も納められています。こちらは、本番の収録終え、美奈子さん自身も、歌詞を少し変えたり、観客も、とてもリラックスして、のびのび歌っています。これが、また、いいんだな。

空間にこれでもかと詰め込まれた、流行の質の悪い音の上にのっているペラペラの表現ではなく、研ぎ澄まされた本物の音楽を感じてみたい方は、ぜひ、どうぞ。

＜３＞ Avex ioの”やくそく”

ちなみに、最近の美奈子さんの作品を発売しているのは、Avexのグループで、Avex ioというレーベルであるが、ここの”志”は、非常に高い。

http://www.avex-io.com/about/index.htm

まあ、そのペラペラの歌声で稼ぎだしたお金で、こんな、パトロン的なやり方を出来るのかもしれないと思うと、複雑ではあるが。やはり、芸術家を育てるには、中世の貴族のようなパトロンが必要なのかもしれない。

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Imagine all the people living life in peace... By John Lennon
Last update: 2004/12/11