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2005/11/26    

海豚 # 188.

人に感動を与える仕事

世界一のカレー

<1> 学生時代の飲み会の仕上げ

初めてその店に訪れたのは、大学1年生の時。Jazz研に入部して、新入生歓迎の飲み会の翌日だった。当時の、新歓コンパと言えば、がんがん、一気飲みをして、吐きまくって、潰されて、気がついたら、次の日という呑み方をしていた。

当然、記憶などなくなり、目覚めると、先輩の部屋で転がっているという状態。で、翌日、先輩に連れて行かれる場所は、いつも同じ。ボンベイというカレー屋。後輩たちに、自らオーダーする権利などなく、先輩が決める激辛カレーを食べなくてはいけなかった。

二口目には、汗が噴出し、舌に感じるのは、痛み。酒で荒れた胃にこの激辛のカレーがしみるのを感じるぐらい。そう、飲み会の仕上げは、翌日のこの激辛カレーだった。

<2> 癖になる

食べることを強要されているうちは、え〜〜マジィ〜〜また、行くの?と思っていたのだが、その辛いけど、深い旨みが癖になり、汗をかくと一気に酒が抜けることもあり、呑んだ翌日には、自らその店に通うようになった。

当然、顔なじみになっていて、おかみさんに、”また、昨日も呑んでたの?いい加減にしなさいよ。学校も行くんだよ。留年するわよ”って、よく怒られた。

当然、上級生になった頃には、後輩を何人も何人も連れて行き、激辛カレーの洗礼を受けさせた。脈々と先輩から後輩へ引き継がれていく悪しき(?)、良き(?)伝統だった。マスターも、おかみさんも、また馬鹿やってるよ。って、優しい微笑みで見守ってくれていた。

<3> 卒業してからも

大学を卒業してからも、年に一回、二回わざわざ、ボンベイのある柏まで足を運んだ。その度に、近況を報告し、おかみさんは、まるで、自分の息子のように成長を喜んでくれた。

いつも、店で食べるだけでなく、10食分ぐらい持ち帰って、冷凍して、惜しむようにチョビチョビ食べていたりした。カレーは、小麦粉を使わないスープのようなカレーなのだが、日本中、いや、世界中どこのカレーよりも深い味わいだと思う。

それ以後も、いろんな有名店のカレーを食べてきたが、ボンベイを超えるカレーはなく、いつも食べたい、食べたいと思っているカレーだった。

<4> 閉店

そのボンベイは、お店を改装すると言う事で、一時閉店しているという情報を得ていた。ず〜〜〜っと、また、マスターがお店を開けられるのを心待ちにしていた。

ところが、先日、学生時代の友人と久しぶりに連絡を取ったところボンベイは、結局、閉店した旨教えてもらった。もう、おかみさんに近況を報告できなくなった事も、あのカレーを二度と再び食べれなくなった事も、37年という年月マスターがボンベイをやってこられたと言う事でも涙が出た。

37年だよ。37年。カレーという料理だけで、いつの時代も、安くて旨かった。どれだけ多くの人に感動を与えて、虜にしてきたんだろう。マスターの生き様に、おかみさんの人柄を思いを馳せるに、深い深い敬意を払わずにはいられない。

http://www.sabosabo.com/bombay/

<5> マスターが修行時代を過ごした店

ところが、その友人から、ボンベイとほとんど同じ味のカレーが、食べれる店が、銀座にある事を教えてもらった。その店は、ボンベイのマスターが修行時代を過ごした店。

http://www.delhi.co.jp/

今日、その店に行ってきた。カレーのメニューは、ボンベイと同じ。チキンカレーでも、カシミールってのが、激辛。インドが中辛。チキンカレーが普通の辛さ。ドキドキしながら、インドカレーをオーダーした。出てきたカレーは、ボンベイのカレーと色も匂いも同じ。一口二口食べて、また、大量の汗と少しの涙が出てきた。

もう、二度と食べれないと思っていた味を口にできたからか? マスターが、僕が生まれた頃に、ここで修行をしていたんだという歴史の重みからか?

お店の方と、実は、ボンベイへ通いつめていたんですよ。という話をした所、話が通じた。彼は、マスターを知っているのだろう。40年前の記憶が蘇ったに違いない。ボンベイで食べていたのと同じで、とても美味しかったです。と、汗を拭きながら言うと、満面の笑みを浮かべてくれた。

<6> 人に感動を与える仕事

僕も社会人になって、かれこれ20年になろうとしている。それなりに業界では、認められる存在になってきているが、コンピュータの世界なんて、ほんの少し生活を便利にするぐらい。追求しているのは、金、金ばっかりで、やってる事はホリエモンと大して変わらない。

前にも書いたが、マスターがやってきた仕事のように、人に感動を与え、記憶に残る仕事がしたい。それが、何なのかは、まだ、模索している最中だが。

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Imagine all the people living life in peace... By John Lennon
Last update: 2005/11/27